2018年10月
アメリカ買い付け紀行『ビクトリアンなもの達との出会い』
主な買い付け先のひとつに、アンティークモールがあります。
モールの規模は大なり小なりですが、
どこもブースで区切られていて、
ブースごとにオーナーがいます。
やはりオーナーのカラーが出るもので、
「ここ、すごく好き!」と思えるブースからは何点か買い付けが出来たりしますし、
たとえばですが、モノが3つしか見つからなかったモールがあったとして、
その3つは、ぜんぶひとつのブースからの出物・・・
なんてことも、ときにあります。
今回、数年ぶりに訪れたモールがありました。
ブースもけっこう入れ替わっていたのですが、
その中にウエスタン&ビクトリアンのモノを集めたブースが出来ていたんです。
↑こんな手工芸の技が光るチャイルドチェア発見。
Kioの子になりました!
↑あと、こんなガラス棚も買い付け。
今年になってからくらいかな・・
「アンティークのレースってやっぱりいいなあ」ってしみじみ思うようになり、
まだスポット的な感じなのですが、
Kioでも扱うようになりました。
レースの似合うシチュエーションについてもよくイメージするようになったのですが、
いつもまず頭に浮かんでくるのが、
“アンティークレース×ビクトリアンな香り漂うウエスタン家具”という組み合わせなんですね。
「素朴さのなかに、ロマンチックで香りづけした風景」みたいなイメージ・・・・。
そんなことを思い描くようになった中での
スペシャルなウエスタン&ビクトリアン家具との出会いだったので
ちょっと興奮でした。
ウォッシュキャビネットを買い付けるにあたっては、
このブースの中に陳列されていたレースやらカップ&ソーサーやらを使って、
雰囲気のチェック。。
そんなことをやっていると、
モールスタッフから「あなた、映画スタジオで働いているの?」と聞かれました(笑)
ハリウッドからずいぶん離れた田舎町に
ぽつんと一軒だけあるアンティークモールなのですが、
こんなところにも映画スタジオのひとが来てるってことなんだあ。
↑こちらも欲しかったのですが、中のダメージが大きかったので、見送りに。
そしてこの翌日になるのですが、
午後遅くになるまで集まりの悪い日、
最後に行ったアンティークモールで出てきてくれたのが
こんなビクトリアンな雰囲気をたたえるソファでした。
張地がどこかシノワズリーな感じがするからなのかな・・、
スタイルはフレンチですが、ビクトリアンな雰囲気のする作品です。
レースをイメージしながら集めた前日の家具たちですが、
このソファと合わせると、すごく印象的なビクトリアンスタイルになりそう・・・!
それもだけれど、
「これは!」と思えるようなソファが今回まだ皆無だったなかでの出物だったので、
この目が覚めるように素敵なソファが視界に飛び込んできたときは
感激のあまり絶句でした。
自分でも可笑しいのですが、
買い付けの現場で
素敵なモノが一箇所でいくらでも見つかる状況と、
そうではなく、何軒も何軒もまわらないと見つからない状況、
どちらかを選ぶとなったら、
後者です(笑)
これからも目が覚めるような、言葉も出なくなるようなモノとの出会いに期待して、
楽しみながら買い付けを続けていきたいです。
アメリカ買い付け紀行『フレンチドレッサーとマダム』
今回、フレンチスタイルのドレッサーが見つかりました。
これを買い付けたのは、
二回ほど買い付け紀行に記事を書いたがありますが、
喜びをしかめっ面で表現する(笑)ディーラーのマダム。
何度か通っているうちに
Kioのテイストもすっかり分かってくれるようになりました。
ディーラーとの付き合いが増えて助かるのは、やはりこういった理解が得られること。
ドレッサーを見つけて、はっと立ち止まる私にすぐ気づいたみたいで、
奥の方(マダムのウエアハウスはかなり広いのです)から、だだだーっと飛んできて、
「これ、まさにあなたの好みでしょう!!」と、
ドレッサーの天板をしかめっ面で二度ほど叩いて言います。
はたから見るとすごい怒ってるみたいですが、、
「まだおととい入ってきたばかりなのよ!あなたが今日来てくれて良かったわ!」って、
マダムは本当に喜んでくれいるのです。
たしかにちょっと変わってますが。。。
他にも面白いというか、助かったことがありました。
マダムのところにはウエアハウスの一角を間借りしている中国人男性がいるのですが、
たくさん入荷があったのか、今回盛んに絨毯をすすめてきてくれたんですね。
素晴らしいものばかりだったのですが、
どれも色味が好きになれませんでした。
「じゃあ、これなら好きかな・・・」と、
新たに、奥の方から引っ張り出そうとしています。
なかなかの商売熱心な彼。
長引いてしまうのでは・・と危惧していると、
「ノー!それも彼女は好きじゃないわ。
とにかく色々見せてくれてありがとう、ハン」と、
マダムは強制終了に出たのです。。
ハンのブースを出ると、
「ぜんぶ見ても、あそこにはあなたのテイストの絨毯は無かった」
そうきっぱりとマダム。
Kioのテイストではなくても、いい物だから見ていると純粋に楽しい、
でも時間も気にしなければならない、
そんなせめぎ合いの中で、マダムの助け舟はやはり有り難かったです。
しかしハンからはこんなフロアランプを買い付けました。
あとマダムからこんなチェストも。
ハンドペイントがほどこされた、古い古いフロレンタイン。
高価なもので、Kioにとってはチャレンジですが、
前にも同じようなことを書いたような気がしますが、
一回の買い付けで、思い切ったことをひとつでもすると、
壁もひとつ越えられたような気持ちになれます。
マダムと別れ、
40分ほど離れた次の町に移動。
「Kioらしくて、Kioのお客さまも好きそうな、
いいモノが買い付けられた!」
するとエンジェルススタジアムも見えてきて、
なんだか嬉しさ最高潮でした。
笑
おまけ。
次の町。
景色はいかにもアメリカな感じですが、
アンティークの買い付けをしていると、
クラシックへの愛着も深いことが感じられます。
(この町に限らずですが)
アメリカ買い付け紀行『海辺のアンティーク。果樹園のアンティーク』
9月27日から10月5日までアメリカ買い付けでした。
(買い付け紀行のスタートが遅れまして。。。)
今回アリゾナには行かなかったのに、
買い付けを終えて走行距離をみると、けっこうな距離になっていてびっくりでした(笑)
ディーラーのアニバーサリーやリニューアルオープンなどのイベントがいくつかあり、
豊富な品揃えの中から選ぶことは出来たのですが、
いざ自店の商品に・・・・となると、なかなか思うようには集まりません。
ある日などは、まずハリウッド界隈のディーラーからスタートして、海辺の町まで移動、
そこでのイベントを終えれば、この日はそれで終わる予定だったのですが
(現時点ですでに12軒のディーラーをまわっている)、
車のなかはまだ三分の一に満たない量。
あまりモノがなく、足早にまわったため、
時間だけはまだたっぷりとあります。
そこで賭けに。
地図とリストを照らし合わせて、
今いる場所からうんとは離れていない町で、
まだ行ったことのないディーラーに行ってみることにしたのです。
道はずっと、明るい陽光の降り注ぐきれいな景色のカントリーロードでした。
しかし途中、S字とヘアピンの連続する峠道に。。
見晴らしが良かったのと、車線が広く交通量も多かったのとで、
心細い思いをせずにすんだからか、
成り行きでこんな道を走っていることに苦笑いでした(笑)
峠を越えると、畑が。
オレンジもあり、それはすぐに分かったのですが、
もう一種類、無数に植えられている木があり、それが何なのか分かりませんでした。
畑が終わると、そのとたんに新旧入り混じったような町が現れました。
目的地に到着です。
ディーラーは何軒かあり、どこも規模としては小さい方ですが、
一軒一軒まわっていくと、モノも増えていきます。
やっぱり、このやり方しかないのかな。
初めて訪れる小さな町で、そんなふうに思っていました(笑)
ある一軒では、こんなキャビネットが手に入りました!
クラシックも、フレンチも、シャビーシックも、ハリウッドリージェンシーも、
やっぱりぜんぶやりたいのです。
嬉しい出会いでした。
ディーラーのマダムも新顔の私に興味津々で(笑)、
色んなお話をしました。
「来る途中、山道がちょっと怖かったけど、素敵な景色だった」と言うと、
「そうなのよ!素敵な町よ!畑は大きかったでしょう。オレンジと、アボカドが穫れるのよ」と教えてくれました。
そうか!あれはアボカドの木だったんだ。
この記事、じつは買い付け終盤のことを書いています。
私、買い付け前の日記で、「アーチスト達の集まる農場を訪れたい」と書いて出発しましたが、
さすがにそこまで時間が作れなかったんですね、
あるアーチストはアボカドを栽培しているのを知っていたので、
少し不思議な感じがしたのでした。
あのゆったりとした山並みを背にして、どこまでも続く果樹園の風景、
初めての場所だからかもしれませんが、今回の買い付けでいちばん頭の中に残っています。
まだ少し動ける時間があったので、30分離れた別の町に移動。
ここも初めてです。
向かったのは、中規模のアンティークモール。
収穫はひとつでした。。
「このエリアに他にアンティークディーラーはありますか?」とモールスタッフに訊ねると、
私がイベントで訪れた町の名前を挙げます。
え・・・
そこって、ここからだとすごい遠いでしょう・・・・・
とにかく町にはもうディーラーはないらしく、
そうなるともうタイムアウト、
LAに戻るべく、カーナビを設定しました。
縦横無尽にフリーウェイが走っているカリフォルニアですが、
どうもこの一帯はそうではないみたいで、
田舎道を20分は走って、やっとフリーウェイのインターに。
感覚ではまだ山のふもとくらいのつもりだったのですが、
フリーウェイに乗って走り始めると、視界に海が・・・?!
しかも町なかの建物には見覚えが・・・・。
この日、イベントで訪れた町だったのです。
たしかに最後の町に行くときから地図にはもう目を通してなかったですが、
長年通った南カリフォルニアの土地勘はだいたいあり、
なので海の方へ向かっていることは無かったかと・・・・
なんだかキツネにつままれたみたいな気持ちの帰路、
思えば終日において、なんだか変わった一日でした。。。
けれどもこんな珍道中の上に、商品も商売の気持ちも乗っかっているなあって、
そう思うとすべてが愛おしいです。