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アンティーク発掘と再生物語

名古屋時代は

店の外にモノを並べたり飾ったりが出来るスペースなんて無かったので、

移転したらアメリカのディーラー達のように

外にガーデン家具とかを色々と出すのが楽しみでした。

 

移転をして、

張り切ってさっそく軒下まわりに色々出したは良かったのですが、

やはり湿度の高い日本、

アイアンにはすぐに錆がまわってきましたし、

ウッドも気がつくと痛み始めてきていました。

 

今では錆止めをほどこしますし、

ウッドにもクリアラッカーを塗布するので

もうこんなことにはならないのですが、

気候がモノに与える影響が

思った以上に大きいのを実感したものでした。

 

 

だけど、錆びたり風化したりしたモノの様子だって面白いので

初期に並べた子たちには、

そのままでKioの敷地の住人としていて貰うことにしました。

 

 

その中のひとつ。

 

 

2020610171510.JPG

 

 

古い時代のスクールデスクです。

アメリカ製。

100年以上の時が経っています。

 

地面から伸びたワイヤープランツがウッドのところにも根を張って、

すっかり自然な風景へとなったのもお気に入りでした。

 

 

すると先日。

この姿にいたく感激されたお客さまがあり、

「このままで譲っていただくことは出来ませんか」とのお申し出をいただいたのです。

 

自分ではとても面白いと思っていても、

朽ちてしまったようなモノをいざ販売・・・となると、

どうしてもためらう気持ちがわいてきます。

 

しかも、今では店の子。

 

それでもお客さまがデスクを私以上に気に入って下さっているのが分かりました。

 

そうなると、あとはお値段的なことになりますが、

こちらでも良い折り合いがすぐについて、

ずっとKioにいると思っていたスクールデスクに

新しい棲家が決まったのです!

 

 

お客さまは「自分で動かして持っていきたいので、見守ってだけ下されば嬉しいです」

とおっしゃいました。

 

こちらに気を遣われたのではなくて、

本当にそうしたいのだろうなあと思いました。

 

私も買い付けで同じ気持ちになることがあるのでよく分かるのです。

 

買い付けが決まった家具を車に積み込むのは手伝って欲しいですが(笑)、

ひきだしひとつひとつを本体から外して見てみたり、

背や、天板や、底はどんな作りがされているか、

どこかにメーカーや工房の刻印はないか、

家具がどんな歴史を辿ってきたかが分かる手掛かりがどこかにないだろうか、

そんな見えない部分を探る作業は自分ひとりの手でやりたいのです。

 

 

「〇○さんを見ていたら、買い付け中の自分のことを思い出しました」

そう言うと、お客さまは手をとめて嬉しそうにしてくれました。

 

 

 

 

 

 

ほうきで丁寧に汚れも掃って、

30~40分ほどかけてスクールデスクのサルベージが終わりました!

 

お客さまの嬉々としたお顔!

 

 

 

 

色々な角度からデスクを眺められて、

その姿もまた自分の買い付けと重なりました。

 

ひょっとしたらディーラーもこんなふうに嬉しのかな?、

なんて、ディーラー達の気持ちまで考えてしまったり。。

 

 

 

「木は防腐加工をして、穴が空いたところはボンドを流して修復しようと思うんです」

とのことで、

翌日さっそくそんなメンテナンスの様子の画像がお客さまから届きました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして完成後の姿も。

 

 

 

 

お客さまは育てている多肉植物を、デスクにディスプレイするご予定とのこと。

 

 

 

『モノは受け継がれていく』ってよく言います。

もちろんそれは世の中にあるモノぜんぶに対して言えることではないですが、

でも確かにそうだなって、あらためて思ったのでした。

 

 

デスク、本当に良かったね。

 

お客さまも本当にありがとうございました!

 

 

 


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