Diary
アメリカ買い付け紀行『西陽とテネシーワルツ』
9月4日から13日までアメリカ買い付けでした。
「ああ、作っていて楽しくて仕方なかっただろうなあ」
先日みえられた家具職人のお客さまが、
ソファの肘にほどこされた細やかな装飾に目をやったときにおっしゃった言葉。
そう・・・!、
まさに私も同じことを何度思ったか・・・・!、
そんな品々との出会いが多かった今回の買い付けです。
ただ、ソファを含めた椅子モノや、テーブルランプやシャンデリアなどの照明、
そんな定番アイテムがあいにく少なかったのですが、
その代わりに、色々なカテゴリーのモノが集まりました。
何て言うか、挑戦したい気持ちが常にあったので、
良くも悪くも(悪いというのは、前述のように定番アイテムがあまり集まらなかったので・・・)
そんな思いが反映された内容になったのかもしれません。
「もっと予算を作れるようになりたい」・・・、
そんなことを思う帰国後です。
買い付け序盤は
ロサンゼルス空港に到着後いっきに北上して、
四時間ほど離れた内陸の町へ。
田園風景の中をひたすら走ります。
アリゾナに行くときの砂漠の一本道も好きなのですが、
どこかしら何故かしら郷愁を感じるこの道も好き。
LAのFMラジオが入らなくなってきたので適当にチャンネルをいじっていたら、
「テネシーワルツ」が聞こえてきました。
このカウンティには40’Sと50’Sの専門局があるようで、
それに繋がったみたいです。
ラジオから流れてくる歌は
真っすぐ先の西陽や、それに照らされた道や風景にぴったりで、
そのままずっと車を走らせました。
幸せなドライブでした。
19時、ホテル到着。
買い付けは翌日からです。
遠出をしなければ到着日から仕事が出来ますが、
道を走っていることで何かが刷新されていくような感じになるので、
この時間も大事に思えるようになりました。
立ち上がり、こんなになりましたが、
次回からは買い付けの内容も書いていきたいと思います!
買い付け前日の日記
明日から買い付けです。
これまでずっと出発前に書いてきた『買い付け前日の日記』。
もう70回くらいは書いたのかな・・・?
その時々で頭の中に渦巻いている想いをすくい取って書いてきたので、
買い付け前の日記は、大袈裟に言えば私にとって心(頭?)の処方箋のような存在でもあったのですが、
今回はどうしてか淡々とした気持ちなのです。
しかしながら、複雑な感情がないだけで、
実はこれまでにないくらいに、どんなモノに出会えるかを楽しみに思っています。
テキサスまではるばるサルベージに行ったディーラーのマダムが
いったいぜんたいどんな物を持ち帰ってきたのか、
早く見てみたくてウズウズしているからなのかな?、
とか、
秋が近づいて自分の部屋づくりへの気持ちが高まっている渦中にいるのですが、
それでその気持ちがそのまま買い付けに直結しているからなのか?、
とか、
色々と分析しているのですが、よく分かりません(笑)
ひょっとしたら、それこそ今回はこれまでにないくらいの収穫があって、
そのことを虫が知らせてきてくれているのかも・・・!
なんて・・・・
だったらいいな(笑)
北欧やアメリカのコテージに佇んでいるような、
カントリーやシャビーシックな雰囲気の家具やインテリア、
かと思えば、それとは真逆に、
ヨーロッパのお城・・あるいはハリウッドの邸宅にあるような・・・、
金彩がほどこされていたり、または寄木細工やオルモル装飾がされていたりする
クラシカルな家具やインテリア。
ここ数年のKioの主流なテイストですが、
今もいちばん手掛けたいテイスト。
こういったテイストの中から、さらにスペシャルだと思えるモノがたくさん見つかるといいな。
そして、これまでは家具が中心でしたが、
そんなテイストの家具にぴったりな小物をほんとにもっといっぱい集めたい。
あれ??
なんだかんだで想いを綴っていますね。。。
向こうはそろそろハロウィングッズが出回ってきている頃かしら?
また帰国後の買い付け紀行で色々と記事に出来ればと思っています。
それでは、行ってきます!
チョークペイント
Kioの主力商品のひとつ、ペイント家具。
半分くらいがオリジナルペイントで、
あとの半分くらいがリペイントされたものです。
オリジナルのものは、
ペイントにクラックが生まれていたり、
ところどころに剥がれが見られる状態で出てくることが多いです。
そういった経年の変化も含めて「面白い」と感じたものを選んで買い付けてきています。
中には「このクラックがあるからこそ」「今のこの質感がたまらない」、
そんなふうに、最たる決め手はペイントの風合いだったと言えるようなものもあります。
そういったものは、やはりもう100年くらいは経過をしていて、
それくらいオリジナルペイントをまとったアンティークの家具には魅力があります。
ではリペイントのものはと言うと、
今度はペイントのテクニックや配色が素敵なケースが多く、
こちらはこちらでやはり魅力的。
でも中には「どうしてこの色に・・・」とか「どうしてこの仕上げに・・・」とか
残念に思えるような出来栄えのものもあり、
そういったのにはこちらで再びペイントをして販売しています。
そのとき使うのが、『アニースローン チョークペイント』です。
石膏質の塗料で、文字通り石膏のような質感に仕上がります。
これを使うと、とにかくもう間違いがないのです。
なんて書くと、なんだか無難な感じに聞こえますが、むしろその反対で、
しっかりとマットに仕上がるため、力強さをも感じる個性的な雰囲気になります。
そして“付き”が美しいので、洗練されたお洒落な感じにもなるのです。
(なんかお化粧品みたいですね。。)
イギリスのブランドですが、アメリカでも大人気で、
向こうのアンティークディーラーたちも好んで使っています。
なので、チョークペイントでリペイントされたものも沢山です。
アメリカで5~6年前に出会い、
以来ずっとアメリカで買っていましたが、
ペンキは通関申告時に成分を明記しないといけないので輸入が大変で、、、
そんなとき日本にも代理店があるとのことを
なんとアメリカのディーラーが教えてくれまして(笑)、
それで調べると、津にもあるし、総代理店もまた三重県は桑名ではないですか!
それから津で買ったり、でもアメリカでもやっぱり買ったりしていたのですが、
先日の夏季休業中に
ずっと行ってみたかった桑名の総代理店のショップへお邪魔することが出来ました。
↑冒頭からの写真はすべて総代理店さんの店内。
とっても素敵な空間でした。
アニースローンから新発売された
ガーデン用のチョークペイントラッカー(ペンキ缶入り)が欲しかったのですが、
ちょうど店頭にも並んでいて、求めてくることが出来ました。
実はコンテナの中でたまたま運悪く荷崩れして
脚がぽっきりと折れてしまう家具が稀に(2、3年に一台くらい)出るのですが、
そんな可哀そうな子たちのストックが何台か手元にあるんですね。
まず手始めに、その子たちの脚を接着して、このラッカーで仕上げて、
ガーデンファニチャーに再生してあげようかと思っているんです。
もちろんこれらは販売はしませんが、
自分たちで使ってみて調子が良ければ、
たとえば木製のステップやチャイルドチェアなんかにラッカーをほどこして、
商品化するのもいいんじゃないかなあと。
せっかく今の場所に来たのだから、
敷地を使って出来ることをもっと探っていきたいのです。
そんな意味でもチョークペイントとの出会いには感謝しています。
アメリカ買い付け紀行番外編「カーメル~17マイルドライブ」後編
〈前回の続きです〉
朝食をとって、ホテルをチェックアウト。
これから5時間半かけてロサンゼルスへ戻り、
ダウンタウンの運送会社さんで荷下ろしです。
この日は土曜日。
運送会社さんが17時で終わる日なので、
時間に間に合うようただただ帰るのみでしたが、
ここでも「せっかくなので・・」と、
カーメルを出るときにちょっといい道?を通りました。
それが「17マイルドライブ」です。
文字通り17マイル(約27キロ)続く道なのですが、
カーメルの海岸線に沿ってずっと敷かれているので、
ゆったりとした湾、
白い砂浜と、紺碧の海、
浜辺一面に咲く花、
そんな景色が繰り広げられ、
一部始終が素敵な眺めでした。
1860年代に乗り合い馬車の道として作られ、
車の時代が来るまでは主に
17マイルドライブの終着点「デルモンテホテル」の宿泊客の移動に使われていたのだそう。
ホテルゲストたちは滞在の合間にまた馬車に乗って海岸へ行き、
瑪瑙とか綺麗な石を拾って過ごすこともあったようです。
今は有料道路になっていて、10ドルの通行料金がかかります。
日本のスカイラインのようなものなのですが、
17マイルドライブは大邸宅やゴルフ場が建つ通りでもあるため、
彼らのコミュニティの中をお金を払って通る・・・
どちらかといえばそんな感じです。
オーナー(こんな長い道にもオーナーっているんだとびっくり)も時代の変遷とともに変わり、
『スターウォーズ』大ヒット後の20世紀フォックスや、
バブル期には日本人が所有していたこともあったのですって。
17マイルドライブのゲート。
ここで門番の男性に10ドルを支払います。
紳士的なひとで、ホテルのコンシェルジュみたいだと思いました。
というかきっと、このコミュニティのコンシェルジュでもあるのでしょうね。
(前述の道の歴史は、こちらで貰ったパンフレットに書いてありました)
ゲートをくぐる直前です。
道の端に一頭の小鹿が立っていました。
渡りたいのかな・・と思って車を止めると、
ゆっくりと前を横切っていったのですが、
渡る前に鹿ちゃん、小さな頭を下げてお辞儀をしてくれたんです(笑)
もちろんたまたま頭をさげたところがお辞儀に見えただけなのですが、
なんだか健気で、「ぜったいに気を付けてね」と思いながら見送りました。
だけど、こんなふうに車や人のことを認識しているような様子を見ていたら、
17マイルドライブは鹿にとっても安全なところなんだろうなと思いました。
ビューポイントがいくつかあったので、
一箇所で止まってみました。
皆さんビーチサンダルに履き替えて、準備周到。
私だけ革のローファー。。
車だってひとりだけ16人乗りサイズのカーゴバンだし、
なんだかだんだん場違いなところにいるような気が(笑)
それにしても
時間が流れていないような静かで、
きれいな道でした。
終盤は曲がりくねった林道になるのですが、
ゴルフ場のコースにもなっているので手入れも行き届いていて、
とても気持ちが良かったです。
それに17(セブンティーン)マイルドライブという名前もいいです(笑)
これが10(テン)マイルドライブとか
23(トゥウェンティスリー)マイルドライブだと
今ひとつぱっとしない感じがする。。
また機会があったら走りたいな。
そのときは、ビーチサンダル持参で!
アメリカ買い付け紀行番外編『カーメル~17マイルドライブ』前編
カーメルというと、
「クリント・イーストウッドが市長を務めていた町」という認識しかありませんでした。。
訪れることになったのは、
ずっと行きたかったアンティークモールがたまたまこのエリアにあったからなのですが、
いざ買い付け計画を立て初めてみると、
ディーラーのサイト画像に写り込んでいる町は
景色はきれいだし、建物もお店もいちいちかわいいしで、
なにやらただならぬものを感じまして(笑)、
そこで今度は町についてリサーチしてみると、
全米屈指の富裕層が暮らす町、
そして美しい自然や町並みからインスピレーションを受けるべく
世界中からアーチストが移り住んでくる町だということが分かったのです。
ここからが自分でも可笑しいのですが、、
「それならば、カーメル滞在中はアンティーク以外の素敵なものにも出来るだけ触れてみることにしよう!」
ということになりまして、
冒頭のシダーシェイク張りのコテージは、そんな流れで取ったホテルです。。
この壁、カーメルというか、北カリフォルニアでは多く見られたなあ。
Kioの外壁は鎧張りですが、実はこの壁と迷ったんですね。
それくらい好きな壁。
フロントとロビーがある棟も、ほかに二つある宿泊棟もみんなこの壁で、
ここが視界に入ってきたときにはテンションがあがりました。。
ブーゲンビリアの仕立ても壁に良く似合っていて、素敵でした。
(Kioも次のシーズンには蔓バラをこの仕立てにしよう!)
部屋には暖炉がありました。
泊まったのは5月でしたが、
夜は、点けようかどうしようか迷うくらい肌寒かったので
(けっきょく点けませんでした)、
ここでは一年の半分くらいは暖炉が活躍しているんじゃないかな。
部屋にいても、鳥の声や風の音が絶えず聞こえてきたりして、
すごく居心地の良いところでした。
「海まで歩いて5分くらいで、道のりも素敵だよ」と、
チェックインのときにフロントのひとが教えてくれたので
あとで散歩しようと思っていたのですが、
インスタグラムの投稿を終えてしばらくしたところでいつの間にか眠ってしまって、
目が覚めたときにはもう夜でした。。。
朝はロビーで、コンチネンタルブレックファスト。
暖炉が焚かれた小さな空間に
形や大きさが不揃いな椅子やテーブルが配してあります。
そこに何組かのゲストが集っていて、
まるでどこかのお家に招かれてきているような感覚になりました。
私みたいにひとりの女の人もいて、
「ここでエッセイを書こうと思ってネバダから来たの」と、
コーヒーの順番を待っている間にそう聞かせてくれました。
仕事でアンティークを買いに日本から来たと私が言うと、
「ええ!そんな仕事があるの?!エッセイに書こうかしら!」と笑いながら言っていました。
近くのベーカリーから毎朝焼きたてを届けて貰っているというパンやマフィンは
持ち帰りたい!と思うくらいで、
(コーヒーはスターバックスの味にそっくりでした・笑)
とっても美味しくて楽しい朝食でした。
(ロビーの写真を一枚も撮らなかったなんて!と、今になって悔やんでいます。。)
ホテルのことを先に書きましたが、
ホテル到着前に買い付けで訪れていたオーシャンアベニューの界隈が
カーメルの中でもとりわけ素敵でした。
雰囲気は、町をあげてまるでおとぎ話の世界のようでした。
アーチストが多いので、ギャラリーもたくさんありました。
ハイブランドのお店も多かった。
お店は、コートが通り抜け出来る作りになっているところが多く、
それで感覚のおもむくままにしばらく店から店へと渡り歩いていたら、
方向感覚にはわりと自信があるのに、なんと迷子になってしまいました!
この界隈でまわる予定のディーラーがまだあと二軒残っていて、
それまでの楽しい気持が一転、焦りに変わりました。。
小さな油絵を展示しているギャラリーの近くに車を停めて
通りの名前も憶えてあったのですが、
とりあえず車に戻ろうとしてもそれが難しいのです。
なんとか自力で戻ったのですが、
まるで森でさまよっていたかのようで・・・・・
不思議な町だと思いました。
番外編なので買い付けのお話もなく、しかも長くなりましたが、、
実はそれでも今回は前編でして、
後編では「17マイルドライブ」という
色々な部分でカーメルを象徴するような道をドライブしたことについて書きたいと思っています。
またよろしければぜひお付き合いください。
前編お読みくださりありがとうございました!
誕生日
今日は私の誕生日です。
なんだかのっけからアピールしているみたいですが(笑)、
これまで何度か誕生日と買い付けが重なったことがあるので、
日本にいると「ああ、今年はこっちでお祝いが出来るなあ」と思うのです。。
おととしの誕生日がアメリカでした。
帰国日だったのですが、
そういえば出国するときに嬉しいことがあったのを思い出したので
記事にしてみることにしました。
2017年7月13日
その日、ロサンゼルス空港の出発ロビーは、
いつも以上に混雑していたのを覚えています。
アメリカン航空に新しく導入された等身大CAのホログラムが
搭乗へのお礼や、保安検査についてなどを繰り返しアナウンスしている姿にときどき目をやりながら
出国審査への長い列に並んでいました。
列こそ長かったものの審査はいたってスムーズに進んでいて、
そのうちに私の順番がやってきました。
私が差し出したパスポートと搭乗券をチェックする審査官。
いつもならマーカーで搭乗券に印を付けてすぐに終わるところ、
審査官はパスポートを見つめたまま。
分からないけど何か問題があったんだ・・・・・
そんなあ、どうしよう・・・・・
身体もこわばる。
すると顔をあげた審査官の目が
ちょっと驚くものを見つけたときのように輝いています。
そしてこう言ったのです。
「きみの誕生日だ」
えっ?!
ああっ!そうかそれで・・・・
「ハッピーバースデー。良い一日を」
「ありがとう。あなたも良い一日を」
乗客の365人にひとりは誕生日ということになると思うのですが、
審査官はそんなところも見ていて、中にはこうやって声を掛けてくれるひともいるのですね。
幸せな誕生日でした。
写真は敷地のアガパンサス。
こちらも二年前、
叔母宅に咲いていたのを「よく増えるから享子ちゃんの店にどう?」と言うことで
母が叔母から株分けして貰ったのを植えたもの。
去年は一輪も咲かず、根付かなかったのかと心配だったのですが、
この間から咲いてきて、
紫と白の清楚な花が今年の誕生日をお祝いしてくれています。
皆さまもどうぞ良い三連休をお過ごしください!
*ところで、ダイアリーでのご案内がまったく出来ていませんでしたが、
買い付けのコンテナは無事に到着をしていて、先週の木曜日からお披露目をしております。
店頭ならびにHPの方にも沢山のご来店をいただきまして、
本当にありがとうございます!
アメリカ買い付け紀行『トレジャーハンター』
夫がディスカバリーチャンネルで見つけて
さいきん二人してハマっているアメリカのテレビ番組があります。
『廃墟 お宝ハンター』
三人組の男性が
廃墟になった工場やホテル、農場の納屋などを回り、
そこからお宝を発掘するという内容。
三人はペンシルバニア州で活動をしている、
実際のアンティークディーラー。
発掘したお宝を時間を掛けて手直しし、
そしてそれらを販売するまでを
すべて自分たちでおこなっています。
お宝の情報が入ると現場に向かうのですが、
州をまたいでの出張も頻繁です。
そうやって出向いても、
交渉の段になって廃墟のオーナーが渋りはじめ、
けっきょく収穫があまり得られないなんてことも多々あります。
そんなときリーダーのジェイがカメラに向かっていつも言うのが、
「こんなに時間を掛けてやってきたのに、これでは損をすることになります」
とのセリフ。
この番組を見ているとき、
いち視聴者として純粋に楽しんでいる自分と、
ジェイ達と同じ、いちアンティークバイヤーとして共感しながら見ている自分がいます。
モノがあまり買えなかったときは、
「せっかくこんなに苦労して発掘までしたのに、可哀そうに・・・・」と
視聴者目線で思ってしまうのですが(笑)、
そのあとの「これでは損をすることになります」というジェイのセリフを聞いて、
色々とハッとさせられるんですね。
廃墟で売れるようなモノを探す。
それは何かにとりつかれた男達の夢物語のように見えて
(じっさい、ジェイ達の廃墟の中での様子を見ていると、
探検ごっこをしている無邪気な子供のようなのです)、
れっきとしたビジネスなのだということ。
当然と言えば、当然のことなのですが・・・
ジェイの姿からは、誇り高いものを感じます。
自分も無邪気に、そしていつもシビアな気持ちで買い付けにのぞんでいるだろうかと
(無邪気は大丈夫だと思う。。。)、
この番組のお陰で自問することが出来たのでした。
買い付け紀行と言いながら、
違う記事になってしまいました。。。
じつは今回、一時間くらいの道のりではあるのですが、
原っぱにぽつんと一軒だけあるディーラーが
野火の延焼で焼失してしまっていたという事態があったんです。
つい最近の出来事だったようです。
ディーラーのことを思って、泣けてしかたがなかった。
その日はどこへ移動してもモノとの出会いに恵まれず、
それでこのことをどうやって記事にしようか、
それとも辞めようか考えていたときにお宝ハンターの番組のことが頭に出てきて、
話があまり繋がらないのは分かりつつ、
今回の買い付け紀行としました。
読んでくださってありがとうございました!
↑上記の日に買えたもの。
Kioでは珍しい、でもなんだかKioらしい感じのする
アコーディオンモチーフのバーツール・ホルダー。
さいきんcobaの曲ばかり急にまた聴くようになったからか、
「アコーディオンだ!」と、目に飛び込んでくるのの早かったこと(笑)
↑こんな天使が連なったハンガーも買えました。
かわいい!
かなり古いです。
どんなところから出てきたんだろうなあ。。
アメリカ買い付け紀行『ローズボウルフリーマーケット』
かつてはフリーマーケットで全体予算の2割くらいを使っていました。
しかし今では
フリーマーケットで出会ったディーラーの倉庫やショップへ直接買い付けに行くケースが増えたのと、
以前はどこへ行くよりもソファが多く見つかり「フリーマーケットはそんな場所」との認識だったのですが、
ここ数年で素敵なソファの出物はめっきりと減ってしまい、
そんなこんなで、フリーマーケットからだんだん足が遠のきつつあったのですが
(「マダムたちのフリーマーケット」は、主催者の方向性が変わり、残念ながら幕を閉じてしまいました)、
今回、久しぶりにローズボウルに行きました。
ローズボウルとは、LA近郊の町にあるフットボールの競技場。
その駐車場を使って第二日曜日に開かれる
南カリフォルニア最大のフリーマーケットです。
間に川まで流れるだだっ広い駐車場で、
そこにみっしりとディーラーのブースが集結しています。
世界中からやって来るバイヤーに、広域から訪れるショッパー。
その規模や熱気に、初めて訪れたときは圧倒されたものでした。
あまりの広さに
買い付け商品を預けたディーラーのブース番号をノートに控えても、
ピックアップのときになかなか見つけることが出来なかったり、
ピックアップの順序も上手く組み立てられず、
無駄に場内を行き来して、そんなことに体力を消耗してしまったり、、、
思い出すと、懐かしい。。。
そんな新規バイヤー泣かせ(笑)の会場ですが、
山並みが望めたり、バラのガーデンがあったり、
丘のうえに建つ瀟洒な家々が間近に見えたりして、
なかなかの素敵なところであります。
家具の搬出だけは大変ですが、
今だと「あともうちょっと広くてもいいかな」、なんて思ったりもします。
さて、バイイングですが・・・、
ソファはけっきょく一台も買い付けることが出来ませんでしたが、
箱物の家具が思った以上に集まりました!
大きい物も小さい物も揃い、
バランスの良い出来高。
そうなってくると決まって、
“何かスペシャルな物”を仲間入りさせたくなります。
するとあったのです。
こんなピアノが!
ピアノの周りを何周もして、食い入るように見て、
ぜったいに買おうと思ったとき、
ディーラーの女性がブースの奥から現れ、
手に持っていた紙をぺたりとピアノに貼りました。
見ると「SOLD」の文字!
「え!いつ売れたの?!」と訊くと、
「今」だと言います。
私の他に見ているひとはいなかったのに、
今ってどういうこと・・・!?
「あなたより前に気に入ったひとがいてね。ホールドになってたのよ。
今電話があって売れてしまったの。ごめんなさいね」
縁が無かったというのは、こういうことなのか。。
だけどこんなのは後にも先にも、見つからないだろうな。
そう思うと、さすがにショックでした。。。
このブースの前をもっと先に通っていれば、買えていたかもしれない。
やっぱり会場、広いですね。。。(笑)
でも見れて嬉しかった!
そして、ローズボウルに来て良かったです!
そういえば今回いちばん感じたのが、
古着のセクションが再び勢いづいていたということ。
流れとして、次に家具にそれが飛び火すると思うので、
これからまた楽しみです。
アメリカ買い付け紀行『セコイアの森にほど近い町での出会い』
サンフランシスコのベイエリアへ行く前日は、
SFとLAのちょうど中間に位置する町での買い付けでした。
内陸にある町で、
前にも来たことがあるのですが、
どうだろう・・・10年ぶりくらいだろうか。
当時と今とではKioの主力アイテムも変わっています。
「今行くと、前よりもっと集まるような気がする」
記憶を辿りながらそう思い、
そして直感のようなものも働いて・・・・、
久しぶりの訪問となりました。
デイーラー達が一様にお喋りだったので、
その印象ばかりが残っていて、
町はどんなだったか・・・よく覚えていなかったのですが、
ヨセミテやセコイア国立公園にほど近い町とあってか、
レストランにしても、銀行にしても、ホテルにしても、
背後にヒマラヤ杉を携えたロッジ風の建物が目立ちます。
ディーラーはほとんどが健在でした。
そして彼らのアンティークモールやウエアハウスの中の印象も変わっていなかったのですが、
予想通り、今回は買い付けられる物が多いのです。
あるモールでは、たくさんバイイングする私の様子を見て、
「ローズボウル(次の日曜日のフリーマーケット)に持っていく物をトラックから降ろしてきたよ」と、
すっかり積み込みが終わっていた商品をわざわざ見せてくれたオーナーもいました。
「ありがとう。でも私もローズボウルに行くんだったのに・・」と言うと、
「ええ?!」と驚かれ・・。
どうやらこの町の住人だと思われていたみたいで、
モールのレジを任されているオーナーのお母さんにも
「あなたはデザイナーのお仕事をしてるの?」と、会計のときに訊かれました。
10年ぶりだものね・・・
次回からもこの町はコースに入れていこうと思うので、
ここのディーラー達との信頼関係作りは、また一からですね。
フレンチスタイルの物を多く扱っている新しいディーラーも見つかりました。
かなり嬉しい出会いです。
フロレンタインのこんなベンチも買い付けました!
初めて見る品です。
サンフランシスコの古いお屋敷やホテルからの出物もあり、
とくに建具などは圧倒されるほどの風格や存在感がありました。
ハリウッドのディーラーのところで見かけるようなベッドもあったり。
こんな実物の馬と同じくらいの大きさのカルーセルも。
(ベッドもカルーセルも買い付け商品ではありません)
そのうちに感動が押し寄せてきて・・・・・・
こことまったく同じような品揃えになるということではなくて、
私がここで味わったのと同じような気持にお客さまにもなっていただくには
Kioはどうなっていけば良いのだろう・・・とか、
この何か揺さぶられるような感じが
やっぱり私は好きだ・・・とか、
色んなことをいっぱい思いました。
この町に来たのはほんとうに正解で、
あまり振るわなかった翌日のベイエリアでの買い付けを
じゅうぶん補ってくれるに値するほどでした。
この町では前夜とこの日と、合わせて二泊。
ホテルに戻り、ヒマラヤ杉の木立の向こうに陽が沈む様子を眺めていると、
空がぴかっと光り始めて、そのうちに雷鳴が。
雷の音はどんどん大きくなって、風も吹いてきました。
そして雨が降り出し、夜になる頃には嵐のような天候に。
ヨセミテやセコイアの森が近いことが思い出されて、
自分はいったいどうして今こんなところにいるんだろう?って、
とても不思議な感覚になったのでした。
心配していた雨も朝にはあがっていました。
フリーウェイからの眺めは、ほとんどが農場と牧場。
そんな道を二時間半かけて走り、
次なる目的地、ベイエリアに移動しました。
アメリカ買い付け紀行『北カリフォルニアへ』
5月8日から18日までアメリカ買い付けでした。
(帰国後、色々とバタバタしてしまって、スタートが遅くなってしまいました、、、)
今回は初めてサンフランシスコのベイエリアまで足を伸ばしました。
・・エリアと言っても、サンフランシスコへは車でまだ2時間以上かかります。
それでもせっかく行ける距離のところまで来たので
本当はサンフランシスコへも行きたかったのですが、
するとあと一日余分に必要。
荷下ろしはロサンゼルスの運送会社さんでしか出来ないので、
車の積載量の関係で、そこまで日程が組めませんでした。
ベイエリアは、
いちばん期待していたアンティークモールは
規模のわりにKioで買い付け出来そうな物が少なく、
反対に個人ディーラーは素晴らしい品揃えのところばかりだったのですが、
しかしこちらは何軒も回ったにも関わらず
値段の折り合いが付かないところがほとんどで、
残念ながらあまり今後につながらない結果となりました。
自分で実際に足を運んでみないことには分からないことなので、
これも収穫ですし、
くだんのモールは長年行きたいと思い続けていたところだったので、
これでやっとすっきりしました(笑)
↑アンティークモール。
元はイワシの缶詰工場だったというヒストリックな建物を改装したモールです。
↑町には缶詰工場跡がたくさんありました。
スタインベックの小説の舞台にもなったのだそう。
今はどれもレストランや雑貨店などに様変わりしていて、観光地として賑わっていました。
↑この町に水産産業の繁栄をもたらしたのは日系移民だったのだそうで、
通りには記念碑が建っていました。
カリフォルニアも北まで来ると
ずい分と景色も違います。
↑カーメルの町。
町並みも、家々も、
落ち着いていたり、可愛いかったりする。
今回はこんな結果だったけれど、
こういった土地柄からの出物、
どんなのがもっとあるのだろうって、やっぱりまだすごく気になる・・・・・・
また行こう。
そのときはさらに北上して、サンフランシスコへも。
自然もまた、南と北とでは違いました。
南カリフォルニアの、
明るい陽光に照らされたロッキーロードも、
どちらかと言えば低くて多肉な植物も、
それに砂漠も大好きなのですが、
北の自然は、それと比べると厳しさが感じられます。
山は切り立っているし、
木々も鬱蒼としていて、ときに風のあおりで斜めになったりしている。
海も違っていた。
こちらも大好きになりました。
通い始めて15年目に入るカリフォルニアですが、
今回はその多様性を深く知って感動を得た旅にもなりました。
そんなこともあってなのか、
いつもよりも元気で仕事が出来ました(笑)
これからもここに買い付けに来たいです。
(次回からは買い付けの内容も綴っていきますね!)
(あと、カーメルの町についてもあらためて記事にしたいと思っています)