Diary
買い付け前日の日記
先々月、
Kioにほど近い里山の民族資料館で、
その町の家々の蔵や納屋から出てきた生活品や農機具の展示を見ました。
薬味や薬草をすりつぶす木製の薬研(やげん)や、
地球儀みたいな形をしたブリキの手回し洗濯機なんかもあり、
薬研は私も石製のを持っているので、
「昔はこんなのみんな普通に使ってたのかなあ」って思うとなんだか感動的で、
ふらりと出掛けていったのですが、楽しい時間を過ごさせていただきました。
なかでも存在を知ってびっくりしたのが、
機織り機ならぬ「縄編み機」
アメリカの買い付け先でも見たことがない。
とても良い佇まいをしています。
かつては日本のどんな農村にもあったんだろうか?
そしてその半月後のこと。
白山町に農業移住して来た女の子二人を我が家に招いて
お昼を振る舞ったのですが、
「このあいだ借りてる家の屋根裏から縄編み機が出てきたんですよ」
と言うではないですか!
「近所のおばあちゃんに見て貰ったら、使い方を知ってるって言って」
「でも一部が壊れてたんで動かなかったんですけど、
そうしたらおばあちゃん、地べたに座って足と手を使って縄を編み始めて」
「何十年かぶりだったらしいですけど、体が覚えてて、すごい速さで縄が完成したんですよ」
嬉々として話す二人に、資料館で見た縄編み機の写真を見せると、
「あーこれですよ!一緒です!」って。
「作りは単純なはずだから、直せるかもしれないね」と、我々。
それに端を発して
白山町でも家に眠っている古道具がいっぱいあるだろうね、
集めてまた光を当ててあげたらいいかもしれないね、
なんて会話に。
「Kioの一角に・・・」
と言ったら、意外だったのか二人ともきょとんとしていましたが、
でも古道具に宿るスピリットって東西同じように思うから
それはそれで楽しいかもしれない。
地域のひとにも喜ばれそうだし・・・・・
「アンティークモールを作りたいな」
そんな夢も長年あるので、これを機に・・なんて、
二人が帰ってからも色々と空想にふけっていました(笑)
「見るだけになってすみません」と、申し訳なさそうにして帰られる方が多いのですが、
これは本当にほんとうに、喜んで見ていただけると、それだけでもものすごく嬉しいんです。
むしろ、もっと品物がいっぱいあったら良かったのになって思うくらい。
「こんなのあるんですねえ」
「こんなのを今の時代に使ってみたい」
そんな声がまず響いて、そこからみんなの暮らしに繋がっていくような仕事・・・・・・
だから、アンティークモール、
いいなあ(笑)
前置きがとても長くなりましたが・・・・・・
明日から買い付けです。
アンティークモールの夢を語りましたが、
現状のKioは、大変な品薄状態・・・・・
円安もあるので、どれだけ買い付けられるか分からず、
補充くらいにしかならないかも・・と、正直思ったりもします。
テーブルランプ、フロアランプなどの照明類、
そして食器類、なかでもカップ&ソーサー、
この両者が皆さまがとりわけ楽しんでいってくださるアイテムなんですね、
なのでそこのボリュームをまずはしっかりさせることからかな。
そしてKioの代名詞的な、絵付けやペイントのされた家具。
フィレンツェのものも含めて。
このあたりが薄いと、やっぱりKioって感じがしないので、
たとえ数台でも集めたい。
あとは古道具で肉付けして・・・・・
って、予算は?!
(笑)
出会い次第ではありますが、
でもなんとなく買い付けの全体像が頭に描けてきています。
久しぶりなので焦らないようにしながら、
ベストを尽くしてきたいと思います。
それでは、行ってきます!
青山高原の山荘にシャンデリアをお届けに
Kioの西手にある山。
青山高原。
そこには山頂だけをずうっと走ることの出来る
ドライビングロードがあります。
その道沿いに山荘地が二つあって、
場所によっては伊勢湾が一望出来たり、
とにかく山頂ということで空が抜けているところが多くて、
それがここの大いなる魅力。
こういった山荘地って、なかなか無いのではないかしら?
時代も変わって、最近では定住する人もじわじわ増えてきていると聞きます。
今日ご紹介するお家の住人Oさんも、そんな中のお一人。
昨年末に手に入れて、
すっかりお引越しも終えたコテージにシャンデリアを選んでいただき、
先日設置も兼ねて高原のてっぺんまでお届けにあがりました。
三角屋根好きの私ですが(笑)、
中でもこの角度の三角屋根が、いちばん好きです!
破風(はふ)のさりげない装飾も似合って、素敵な屋根。
そして素敵なコテージです。
壁も天井も、すべて羽目板でした。
おそらくレッドパインなのではと思うのですが、
赤味のあるウッドに6灯のシャンデリアの光りがあたって、
それはとても温かで、
本当に山荘のイメージそのものと言った色味にお部屋全体がなって、
Oさんも電気が灯るなり「うわ、いいねえ!」と大喜びでした。
衣類持ちでいらっしゃるので、
なんだかショップみたいでもありますね。
作業は電気工事士の資格を持つ夫がおこない、
そのあいだ私は子猫のくぬぎちゃんに遊んで貰っていました。
二階で寝ていた兄弟のマルタくんともども
実は私たち、Oさんよりも先に赤ちゃんの時から知っていたので、
二人が幸せになったこともシャンデリアが上手く設置出来たのと同じくらい(それ以上?)
本当に嬉しかった。
朝が来ると、窓やデッキから外の景色をぼんやり眺めるのが
Oさんにとっての至福の時間なのだそう。
「まだ売り物件が出ていますよ」と、おすすめしてくれましたが、
私たちには高原のふもとのKioがありますし、
何よりそんなお金のゆとりもありません。。。
でも、こんなところで本を読んだり、
コーヒーをゆっくり淹れて過ごせたらいいだろうなあっていうのは
この山荘地に来るたび思いますね。
あと、それこそもしお金が有り余っていたら、ここに教会を建てたい!
というのもずっと妄想している(笑)
教会と言っても宗教的な何かというのではなくて、
きれいな光が差し込んできて、少し細工のされたベンチがあって、
自分を含めて訪れた人が思い思いにただただぼんやりと過ごすことの出来る空間。
木造建築で、屋根はもちろんOさん邸のような角度の三角で!(笑)
壁の額絵たちも一緒にお求めいただきました。
Oさん、今回は本当にありがとうございました!
またふもとにてお待ちしております。
おまけ。
山頂では昼間でも鹿が出ます。
この日も斜面を駆け上がっていく小鹿を見ました。
高知への旅があったり、アーミッシュから学んだり
先月のことですが、急な用事で高知県へ行きました。
朝5時に家を出て、夜の11時半に帰宅。
日帰りの車旅です。
明石海峡を渡り、淡路島を横断し、
今度は鳴門海峡を越えて、四国へ。
淡路島を走っている間は、
なんだかどうしてか、日本の〝おへそ〟にいるみたいな感じがして、
その時の不思議な感覚がずっと残っています。
四万十川も初めて見ました。
大らかな川でした。
そんな場所で、地に足をつけて生きる温かくて陽気なご夫婦と会いました。
自分たち的にも、世の中的にも新年早々から色んなことがあって、
時間が過ぎるスピードがこれまでに以上に早く感じます。
そんななかで四国に行ったときのことは、
アメリカに買い付けで行ったのと同じような記憶場所?におさめられていて、
思い出すと落ち着いた気持ちになります。
まだ確定ではないのですが、
来月買い付けを計画しています。
(近づいているのにまだ未確定だなんて、、、!)
きっと何回か同じようなことを書いていると思いますが、、
「使えるもの。かつ絵にもなるような美しいもの。」
そういったのを探して展開していきたい。
たとえば台所がある。
そこには調理道具や食器が必要だし、
それにテーブル、椅子、食器棚、明かりも必要。
最低限でみてとっても要るそれらのアイテムを、
長く使えて、美しいものにする。
それだけで景色は良くなるし、寛いで楽しい気分にもなれる。
だからそれらは、物質ではあるのだけれども、
それをちょっと超えて精神的なものであると言える。
そこをやりたい。
大事にしたいと思っている。
この間、動画で公開されたアーミッシュの人の家を見ました。
また折りをみてゆっくり書くかもしれませんが、
とにかく本当に衝撃的でした。
美しいとはこういうこと。
本来、シンプルで機能的で持続可能とはこういうことなんだって。
思想や風習という枠でとらえると彼らのことは分かりづらくなってしまうのかもしれませんが、
誰もが実践できて満足が得られる暮らしを見たような気がします。
「こんな暮らしをされたらメーカーのものは売れなくなっちゃうかもしれないね」
思わず夫に向かってこんなことを口走っていました。
美しくて、継続できる暮らし。
Kioとしてやれることがもっと沢山あるはず。
以前みたいにネジをいっぱい巻いてやるのではなくて、
少し緩めて・・・・・、
自分たちも暮らしをもっと楽しみ、
そこから出たものを盛り込みながら、
今までよりあじわいのある店や品揃えになっていきたいです。
書くとついアツくなるのは変わっていませんね。。。笑
熱いものを提供していきますね!
これからもよろしくお願いいたします。
(四国ではぜんぜん写真が撮れなくて。。。
画像が少なくてごめんなさい。。。)
今年もありがとうございました。炉辺にて。
二階の住まいに薪ストーブがつきました。
長年の夢ではあったのですが、
すっかり〝自分たちで手作り〟が生活のモットーになってしまったがため、
「さすがに薪ストーブの設置はハードルが高いね」ということで
これは夢のままできっと終わってしまうだろうと思っていました。
ところがある日、
「薪ストーブをつけることにしたよ」と、
耳を疑うような言葉が夫の口から突然出て。
ホームセンターで何気に手に取った薪ストーブのカタログを見ていたら、
自分でも出来るんじゃないかと思えてきたのだそうです。
(それから夫は、YouTubeなどで猛勉強の日々でした・笑)
鉄の塊を二階にあげるのは家具とはわけが違いましたし、
とくに煙突工事は、風の強い地域でしたので失敗に次ぐ失敗で、
想像以上に苦戦しましたが、
夫が諦めずに頑張ってくれたお陰で
今年は薪の炎を見ながらの年越しです。
鋳物の炉があり、そこに薪をくべる。
ただそれだけ。
電気も燃料タンクもいっさい使わない。
そんな薪ストーブは、原始的と言えるまでのシロモノ。
でも、上昇気流を作って炉内の温度をあげてあげないと、
薪は燃えてくれない。
そのために着火の際には窓を開けて室内の気圧を弱めたり、
燃えやすい針葉樹と、長持ちする広葉樹を使い分けたりしないといけない。
ひと筋縄ではいかないけれども、
そこに自然の摂理を見ることが出来る。
すごく面白いし、勉強になる。
「こんなことを学校で教えて欲しかったね」
なんて夫と笑って話しながら、
やはりここでもKioをやりながらいつもいつも考える
〝本物の道具〟のことを思う。
もうすぐ新しい年が始まります。
どんなことが出来るかな。
どんなモノを提供させていただくことになるだろう・・・・・
興奮、期待、
そんなのが静かに・・興奮なのに静かと言うのもおかしいのだけれども、
でもそんな感じで・・心に湧きおこってきています。
そして皆さまへの感謝も同時に。
買い付けもまだまだ不安定ななか、
そんなKioをいつも見ていてくださって、ご愛顧くださって、
本当にありがとうございます。
どうぞ良いお年をお迎えください。
皆さまにとって2024年が幸せな一年でありますように。
ふるいビルで、モノを愛でる。レトロマーケット出店レポート。
日本有数の繊維の町としても知られる、愛知県一宮市。
そんな一宮の駅前に佇む、
三階建ての古い洋館。
繊維産業の最盛期・1930年代年に、繊維組合のビルとして建てられたもの。
杉綾意匠のアーチ窓、スクラッチタイル張りの外壁・・・、
かなりの贅を凝らして造られたビルディングです。
そんな名建築が解体の危機に直面していると聞いたのは、
地元で衣食住遊のデザインコーディネート業を営む稀温(きおん)さんという女性。
私の学生時代の友人でもあります。
ビルを一棟借り受けて危機から救うというプロジェクトに漕ぎ着け、
2016年より『リテイル』という名前で
繊維素材の販売や、
アトリエ・ショップ・イベント企画などをおこなっています。
彼女の誘いと想いに感銘を受けて、
23日の勤労感謝の日、
古いモノ達の新たな出会いの場として年に二回開かれている
「オールド/ニュー」というイベントに参加してきました。
↑Kioのスペース。
イベント自体が初めてでしたし、
買い付け前で商品が少ない時期でもあったので、
カタチになって、かつボリュームも出せるかどうか心配だったのですが、
稀温さんの「ひとつでもKioらしいモノがあったらいいと思います!」
との言葉のお陰で気が楽になり(笑)、
予定外だった大きいモノもかえって運んでみたくなったりして、
なんとかKioっぽいブースが出来ました。
良い出会い、懐かしいひととの再会もありました。
実店舗でもそうですが、こういったことがやっぱりいちばん嬉しいものですね。
そしてもうひとつ。
二年前から原寸大の映画前売り券を掲載した本を作っている夫が
稀温さんの厚意で急きょ一緒に出店をしたこと。
Kioブースの一角にコーナーを設けたのですが、
アンティーク以上の反響が返ってくることもありましたし(笑)、
アンティークだけでなく本にも大変興味を持った方が
両方を買って下さるなんてこともあって、
夫は大喜び、
私としてもいつもの実店舗では味わえない新鮮な体験で、
お互い楽しい一日になったのでした。
ビルは「街だったらここに出店したい!」と思うほど好み(笑)
稀温さん、お誘いをありがとう!
ビルがずっとこのまま使い続けていけれるといいですね。
オールド/ニューは明日26日も開催していますよ!
実は見た目だけでなくて使い勝手も良い、ビンテージのヘアブラシ
突然ですが、
皆さまはどんなヘアブラシをお使いでしょうか?
髪質の良い方は
きっと何を使っても上手く梳かすことが出来ることでしょうね。
それこそコームやスケルトンブラシでさっと梳いただけでも
きれいに整うのではないでしょうか。
しかし私は、太くて硬くて量が多く、
おまけにくせ毛で乾燥しやすいときている、、、、、
こんな髪にぴったり合うブラシというものに、
実はこれまでの人生で出会ったことがなかったんです。
くせ毛で根元が立ち上がり気味なので、
毛が柔らかいと、髪にブラシが負けてしまう。
量のせいなのか何なのか、
ヘッドが小さいと櫛通りが悪い。
ここまでは早くから分かったので、
硬い毛で大きなヘッドのものを選ぶようにしていたのですが、
それでもどんなブラシを使っても「ぬかに釘」といった感じで、
上手い具合に梳けない・まとまらない、
ずっとそんなでした。
ところがいつぞやだったか、
いたずらに梳いてみた〝あるブラシ〟が「えっ?!」って思うほど、
私の髪の救いの神となってくれたんです。
それがタイトルにある「ビンテージのヘアブラシ」です。
大きなヘッドに、長い持ち手を携えたひと品。
毛はナイロンだと思うのですが、
まずこれが硬さがあり、びっしりと植毛されていて、
正直、先端を触るとチクッっと痛いくらい・・、
だけどそれがかえって
髪や地肌全体にきちんと行き渡ってくれる感覚があったんですね。
そして重さ。
毛以外はほとんど金属なので、
市販のブラシと比べると、2倍3倍と重い。
でもその重さが功を成して、
髪を余すことなくしっかり梳かしきって(変な表現ですが、、)くれるんです。
硬い毛はこれまでも使ってきたから、
鍵は重さが握っていたんだと思いました。
それまでスチームアイロンを駆使しないとダメだった根元の浮きまで
解消されました。
ボリュームを抑えたいところ、真っすぐにしたいところは、
その部分の上側に手をしっかり当てて重点的に梳かすと上手くいきます。
これまでブラシ難民?だった私には
それはそれは感極まることでした。
商品として買い付けたブラシでしたが、
そのまま私物となり、無くては困るほどの必需品となりました。
かれこれ5年くらい愛用しているでしょうか。
買い付けへももちろん持参します。
いくらスーツケースの中を占領しようとも、重くとも、かまいません!
ただ、大きな金属の塊なので、
X線検査に毎回ひっかかるのが難点、、、
「やっぱり櫛でしたか。余りにも大きかったので確かめさせて貰いました」
5月の買い付けの時も、
スーツケースを開けた空港保安係員の方が苦笑いされていました。。
ちなみに画像は、冒頭もこちらもHP掲載の商品。
私のブラシは、
ヘッドの装飾がアメリカのホテルで取れてしまったみたいで
気づいてから探しても見つからず、
こちらでお披露目するにはちょっぴりさびしい見た目のため、
イメージ画を載せました。。
こちらも試してみますと、
私のと変わらない使い心地で、良かったです。
(正直なところでは、さらに重さがある私のブラシに軍配があがるかな。。)
なんだかさいご宣伝になりましたね(笑)
しかし昔の道具、
ブラシに限らず使い勝手が良いモノが多いなあって思います!
秋分の日。栗拾い。二組の来訪者。
今日は久しぶりにからりとした陽気になりました。
そよ風が吹いて、お花の水やりがとても気持ちよかったです。
春に結婚をした甥っ子が、お嫁さんを連れて訪ねて来てくれました。
「これから赤目の滝にハイキングに行くんだ」とのことだったので
小一時間ほどの滞在でしたが、
朝からスパイスたっぷりのチャイを淹れて
お彼岸のおはぎと一緒にみんなでティータイム。
彼らを見送りに外に出て、
開店までまだ少し時間があったので、
夫と二人で向かいの森に栗を見に行きました。
たわたに実をつけていたので、そろそろ・・と思っていたのですが、
地面にはもうすでにずいぶんと落ちていて、
中には野生動物が食べてイガだけになったものもありました。
「あと一週間くらいで採れると思いますよ」
ここ数年私たちに収穫を任せてくれている栗林の所有者さんが
こないだ言っていた通り!
いち早く着替えてきた夫が栗拾いを始めました。
私は店を開けて、もし行けそうだったら後から拾いに行こうと思っていると、
二人組の男性がさっそくご来店。
見ると一人は、三脚のついたカメラを手にしています。
聞くとYouTuberさん。
電車沿線を取材して、動画配信をされていらっしゃるのだそう。
Kioもいちおう?近鉄沿線なんです。
他に店があまりない中、見つけて入ってきてくれたんだと思うと嬉しかったな。
彼らも彼らで「こんなところにアンティークショップ?!」と驚いてました(笑)
店内の画がうまく使って貰えるといいのだけれども。
今日は急にほんとうに秋らしくなって。
するとまるで紙芝居の紙をめくったかのように
「絵」が変わって。
お話しは急展開するとかではなくて、
これまでの続きなんだろうけれど、
Kioの四季物語、秋の幕開けといったところです!
「開かずの扉を開けろ!」作戦。
久しぶりの更新になってしまいました。。
今年の夏休みは、二階住居の一室のリフォームをやっていました。
いわゆる屋根裏部屋的な、斜め天井のお部屋です。
約12畳。
まだ手付かずだったここを、
壁だけでなく斜めの部分も板張りにして、
くすんだ水色でフルペイントして、
コテージ風の空間にすることになり。
休み中に完成させて、
ブログとインスタグラムに投稿をと思っていたのですが、
角度がある部分の板のカットに思った以上に手間がかかり、
作業は定休日に繰り越して、継続中。。
頭が切り替わらなくて(笑)、
ブログ、インスタともにストップしておりました。。。
何か書こうと思い、
小話ですが、この間あった嬉しいエピソードを。
このキャビネット、
もう八年くらい前ですが、買い付け紀行に載せたので覚えてくださってる方、
いらっしゃるかもしれません。
手直しの必要もないくらいの状態だったのに、
なぜ販売していなかったかと言いますと、
鍵が開かなかったんです。。。
1.コンテナで荷受け後、鍵がどこにも無いことに気づく
2.鍵だけバッグに仕舞って帰国したのだったかもと思い、
バッグやスーツケースの中を探すも、どこにも見当たらず
3.「そもそも鍵を受け取らなかったのかもしれない」
それで次の買い付けの時にディーラーに訊いてみると、
「Kioにちゃんと渡したぞ」と即答される
4.店にストックしているあらゆるアンティークの鍵で試すも、
「おしい」のもあったが、やはり開かず・・・
5.鍵の専門屋さんに電話で頼んでみると、
「アンティークはちょっと・・・」と断られる
6.扉の角にマイナスドライバーを当てて
自力で開けようとトライしているところを夫に見つかり、
「無理にやったらダメだよ」と注意を受ける
7.夫の目を盗んで何度かトライする
開きそうな気がするのだが、開かない
6と7は手荒なのですが、、
ひょっとしたら鍵はアンロックの状態で、
ただ単に塗料が固まって扉が開かないだけじゃないかとも思ったんです。。
偶然ぴったり合う鍵が出てくるまで待つしかないのかと思いながら
八年が経過。
すると先日お客さまで設備職人さんでもある方がみえ、
「これまだ開きませんか」と、
店の奥に鎮座し続けるキャビネットを見て、そうおっしゃいます。
1~7までのことを話し、
6で開く可能性もあると言うと、
「やっちゃう?」と、突然そんな思ってもなかったお申し出・・・
「クリアファイルあります?」
「え?それで開けるんですか?」
「いや、道具が家具に当たらないようにクリアファイルを差して養生するんですよ。
これ、現場でよくやるんです」
なるほど、職人さんの知恵も学ばせて貰った・・と思っていると、
「開きましたあ」
この八年は何だったんだと悲しくなるほど、
いとも簡単に扉が開きました、、、
キャビネットは買い付ける直前にディーラーがペイントしたばかりだったので、
完全に乾かないうちに固まった塗料が
扉を施錠したかのように強力に締めていたんですね。
私がトライしても開かなかったのは、
私と職人さんの技と力の差だったみたいです。。
けれどまさか、こんな急展開で扉が開くことになるなんて・・・!
職人Sさん、どうもありがとうございました!
それにしても鍵がかかっていなくてほんとに良かった。。
扉には、真鍮かブロンズの小さな取っ手を付けて、
鍵穴は飾りとして残そうかと思っています。
近いうちに商品ページでもお披露目いたしますね!
しかし、鍵はいったいどこへ行ってしまったんだろう?
アメリカ買い付け紀行「オールドタウンへ」
土曜日は、LAから200キロほど離れたオールドタウンへ。
もともと荒野だったところに造られた新興住宅街を
いくつも越えて行くルート。
途中まではLAへの通勤圏でもあり、
平日だと激しい渋滞に巻き込まれるので、
土曜日を選びました。
ところが30分くらい走ったあたりで、車の流れが止まってしまい・・・。
普段は混まないところだったので事故かと思いきや、
道路工事でした。
しかも通行止めをしているとのことで、
この先のインターでフリーウェイを強制的に降ろされることになり・・・。
カーナビはフリーウェイを使うルートしか教えてくれないし、
私のスマートフォンはWiFiのあるところでしか使えないので、
どうすれば・・と思ったのですが、
他の車がみな同じように進路を取っているところを見ると、
これについて行けばフリーウェイに乗れるだろうと。
した道でも工事をやっていて、ずい分と時間ロスをしましたが、
40分くらい走ってフリーウェイの乗り口に出ることが出来ました!
した道はずっと新興住宅街でした。
子供達のフットサル大会の様子が見れたり、
ある住宅地などは区画が牧柵で囲われていて農園地帯風だったり、
別のところはリゾートホテルのような瀟洒な塀で仕切られていたりで、
普段走り過ぎるだけの町にズームイン出来て面白かったです。
アンティークディーラーだって
探せばきっと何軒かあるんだろうなあ。
初回買い付けに出る前、
買い付けの大先輩に、
「え?フリーウェイだけ使うの?
じゃあ、した道にある小さいところには行かないんだ」
と言われたのがいつまでも頭に残っていて。
小さいところだってフリーウェイを使って行けるけど・・・
と、内心で思ったものでしたが、
先輩は偶然の出会いにも懸けていたのかもしれないな。
そんなことを思いながら走っていました。
オールドタウンは観光地でもあるので、
三連休で大賑わいでした。
観光地ですがアンティークのモールやディーラーが集まっているので、
毎回必ずと言っていいほど訪れています。
一軒目のモールへ。
ここは、のんびりした人が多くて、
三年ぶりなのにそれにはまったく触れてこずに、
今回は小物の買い付けなので車のサイズを小さくしたのですが、
「いつものでかいバンはどうした!!」と、
そこかい!って(笑)
↑買い付けたものの一部
日本語が聞こえてきたので、どうしても話しかけたくなったのですが、
アンティークが好きでいろんなモールを回るのが趣味だという
現地在住の方々でした。
お二人ともとても気さくで、話しかけたことを喜んでくれました。
情報交換も出来て、思いがけずの楽しいひととき。
日本語で喋る私を初めて見て、モールのオーナー氏がきょとんとしてました(笑)
なんだか思い出につられて
のんびりムードになった今回の買い付け紀行でしたが、
オールドタウンをくまなく回り、
さらに南へ行った農場地帯に点在するディーラーにも寄り、
内容はと言えば、なかなかハードな一日で、
そしてほっとするような出来高でした。
↑フロレンタインのこんな一台がありました。
蓋式になった天板を開けると、ドレッサーになります。
こんなの初めて見る・・・!
でもモノ自体が高いうえに、さらにこれを航空便で運んだら・・・・・
さすがにこの子に関してはコストのことを考えて涙を飲みました。
今回唯一の心残りです(笑)
↑おまけ
あるモールに出来ていたグロッサリーストア。
什器のビンテージを商品にしながらの贅沢な展示で
かっこよかった。
アメリカ買い付け紀行「19世紀の木馬を買った日」
5月25日。
買い付け二日目。
この日は車で1時間の町からスタートして、
フリーウェイ沿線に点在するディーラーに立ち寄りながら
帰って来るプラン。
15軒くらい回れたら・・と。
今回の日程の中では、いちばんの勝負の日です。
まずは小物を目指してアンティークモールへ。
前日のモールでは古道具多めだったのに対して、
こちらではエレガントなモノが多く見つかりました。
思えばKioを立ち上げた時から「バランス」をいちばん大事にしていたので、
良い滑り出しに。
次にフレンチ系のモノが集うディーラーへ。
オーナーがイタリア旅行中で会えなかったのですが、
アメリカに滞在している間、
イタリアの彼女とインスタグラムで何度かメッセージをやり取りし合ったことが
今回の思い出になりました。
LAのディーラー情報まで教えてくれて
(そこにはあいにく時間が無くて行けなかったのですが・・)、
バカンス中なのに親切にしてくれてとても嬉しかった。
ここのマダム達もですし、ブースも大好きなディーラー。
もう二度と来れないことはない筈なのに、
「またあの場所に行けるのかしら?
またあの人達に会うことが出来るのかしら・・・?」
何度もそうやって思っていたので、
駐車場に車を停める時からドキドキそわそわでした(笑)
モノは思っていたより見つからなかったので、
名残惜しい気持ちではあったものの、足早に次のディーラーへ。
長期の休業中だったり、閉業していたディーラーもあったりで、
3年のブランクを感じながら、
出国前にリサーチしてた時「シャビーシックの取り扱い」との紹介文に
楽しみにしていた新規のディーラーへ。
雰囲気は良かったのですが、雑貨店といった内容で、
こちらも足早に。
何軒か回っているのに、上手く買えていないことに気づく(笑)
ここで作戦変更。
一軒目のように確実なディーラーを
この後は回っていくことに。
すると、この後からは好調に転じてくれました。
ロマンチックなオイルランプとフェントンのキャンディポット&ホルダーが同時に!
テンションが上がりました。
(どちらもすでにご成約となっております)
そして19世紀の木馬三輪車が視界に・・・・!
前日の運送会社さんとの打ち合わせで指南いただいた
「最大の背丈」をたぶん超えています。
コンテナじゃないのを初めて悔やんだ瞬間でした。。。
車輪、外せないかな?
横向きにするとか?
色々考えた末、
「えーい。もう超過料金でもいいや!」
ということで、買い付けることに。
「思い切ったことをする」
そういえばこの心構えでいつもやっていたんだったなあ。
こんなふうにして集めたモノ達が、お客さまに喜んでいただけた。
そんなことを思い出し、またアクセルを強く踏みたくなったのでした。
最後に行ったディーラーは、オーナーがチェンジしていました。
ショップと倉庫が一体になった、
広くて、ほの暗くて、静かな空間。
雰囲気はそのままに。
品物のテイストも、それに匂いまで以前と一緒でした。
家具メインの買い付けだったら、
ここも足早に去っていたのかもしれませんが、
しかし小物となると、どんどん掘り出せるのです。
「日本でリセールする」と言うと、
かなり良い条件にしてくれて、すごく有難かったですし、
時間を忘れて買い付けてたら
終業時刻をとうに過ぎてしまっていたのですが、
ディーラー夫妻は何も言わずに待ってくれていて、
それにも感謝の思いでした。
「昔、佐世保にいたことがあるんだよ。日本はとても美しい国だね」
車への積み込みの時に、旦那さんがそうやって言うので
またもや嬉しくなり。
別れ際には「アリガト!」と言って手を振ってくれました。
15軒も回れませんでしたが、
内容は納得のいくものに。
フリーウェイもスムーズに流れていて、
「木馬が乗ってるんだ!運送会社さん何ていうかな?」と思うと
笑みが勝手にこぼれてきて。
いい帰り道でした。
「そういえばジャカランダの季節だったなあ」と。
また写真時は青空ですが、ほんとに毎日曇りだったんです。。。